はればれのコラム

近所のゴミ屋敷に困ったら 相談先と、行政ができること

困っているのは、
住んでいる人も同じかもしれません。

書き手:株式会社ビッグパートナーズ(はればれ)公開日:2026年11月3日出典の確認:2026年11月

※写真はイメージです

このページについて

このページは、片付けの事業者(株式会社ビッグパートナーズ/はればれ)が、公的機関の資料をもとにまとめた一般的な情報です。法律の助言ではありません。根拠は各節の出典に限ります。

まず知っておきたいこと:行政はすぐには片付けられない

近所の家からにおいや虫が来る、物が道にはみ出して危ない。そんなとき「役所が片付けてくれないのか」と思うのは自然なことです。けれども、総務省の調査結果(2024年8月)は、「ごみ屋敷」の解消を直接の目的とした法律や国の制度はないとしています。

家の中や敷地の中にある物は、ごみに見えても住んでいる方の持ち物です。行政が動く根拠は、主に市区町村が独自に定める「ごみ屋敷条例」などで、その条例がある市区町村も多くありません。

国の調査でわかっていること数字
直近5年度に「ごみ屋敷」の事案を把握している市区町村1,741のうち672(約38.6%)。把握した事案は全国で6,054件、大阪府は237件(環境省・令和6年度調査)
行政が事案を知ったきっかけ「市民からの通報・情報提供」が最も多く、把握している672市区町村のうち602(約89.6%)が挙げた
「ごみ屋敷」に対応する条例などがある市区町村1,741のうち90(約5.2%)
条例のある90市区町村で、直近5年に行政代執行をした件数4件(調査541件、助言・指導391件、支援145件、勧告13件、命令9件)
調べた181事例のうち、周辺に悪影響が出ていたもの約8割(149事例)(総務省)
住んでいる方が健康面・経済面の課題を抱えていた割合約7割(要介護・認知症・精神疾患・生活困窮など)(総務省)

数字が示しているのは、行政の対応の中心は「調べる・話を聞く・助言する・支える」で、強制的に片付ける行政代執行はごくまれだということです。近所からの通報は、多くの場合、行政が事案を知る最初のきっかけになっています。

出典:環境省「令和6年度『ごみ屋敷』に関する調査報告書」(令和7年3月)/総務省「『ごみ屋敷』対策に関する調査 <結果に基づく通知>」(令和6年8月28日)(2026年11月に確認)

近所のゴミ屋敷で困ったときの相談先

困りごとの中身によって、相談先が変わります。どこに言えばよいかわからないときは、まず市役所・区役所に「近所の家の物の堆積で困っている」と伝えて、担当の課を聞いてください。

困りごと相談先の例
においや虫・ねずみが来る、物が積み上がっている(大阪市)お住まいの区の区役所(「ごみ屋敷」に関する相談窓口)
においや虫・ねずみが来る(そのほかの市町村)市役所・区役所の環境(ごみ)や生活衛生の担当
住んでいる方が高齢で、暮らしが心配地域包括支援センター(高齢者の総合相談窓口)
火事が心配(物が電気ストーブのそばにある、たばこの火など)消防署
物が道路にはみ出して通れない市役所の道路の担当
相手が賃貸住宅(アパート・マンション)に住んでいる建物の管理会社・大家さん
誰も住んでいない家(空き家)市役所の空き家の担当

環境省の調査でも、市区町村の対応は環境(ごみ)の担当だけでなく、生活保護・障害者福祉・消防などの担当が連携して対応した例が報告されています。消防部局が、火災予防の観点から助言・指導をした例も挙がっています。

相談するときに伝えるとよいこと

  • 場所(住所や目印)と、家の種類(一戸建て・アパートなど)
  • いつ頃から、どんな状態か(物が家の外まで出ているか)
  • 困っていること(におい・虫・ねずみ・火事のおそれ・通行の妨げなど)
  • 住んでいる方の様子でわかること(ひとり暮らし・高齢など、見てわかる範囲で)

写真を撮るときは、道路など誰でも入れる場所から、家の外に出ている物だけにしてください。撮った写真をSNSなどに載せるのはやめましょう。住んでいる方を追い詰めることになり、話がこじれる原因になります。

出典:環境省「令和6年度『ごみ屋敷』に関する調査報告書」(令和7年3月)/大阪市「いわゆる『ごみ屋敷』に関する相談窓口」/堺市「地域包括支援センター(高齢者総合相談窓口)」(2026年11月に確認)

やってはいけないこと

  • 勝手に敷地に入る、物を片付ける・捨てる … ごみに見えても他人の持ち物です。善意でも、法的なトラブルになりかねません
  • 大勢で押しかける、張り紙をする … 住んでいる方が心を閉ざし、かえって解決が遠のきます
  • 回収業者を勝手に呼ぶ … 費用を誰が払うか、何を処分してよいかでもめる原因になります

総務省の調査では、解決していない事例の主な理由は「市区の対応について居住者から理解を得られない」が約8割、「居住者が解消を望んでいない」が約6割でした。強く迫るほど、住んでいる方が片付けを拒むことにつながりやすい、ということです。

出典:総務省「『ごみ屋敷』対策に関する調査 <結果に基づく通知>」(令和6年8月28日)(2026年11月に確認)

条例があるとき、行政は何ができるか(大阪市の例)

大阪市は2013年12月に「大阪市住居における物品等の堆積による不良な状態の適正化に関する条例」を定め、2014年3月から施行しています。この条例は、物品等の堆積で害虫・ねずみ・悪臭が発生したり、火災のおそれがあったりして、周辺の生活環境が著しく損なわれている状態を「不良な状態」としています(第2条)。

段階条例の定め
調査(第6条)市の職員が建物に立ち入って調べ、住んでいる方などに質問できる。堆積させている本人が正当な理由なく調査を拒んだときは、その旨と氏名を公表できる(事前に理由を通知し、意見を聴く)
指導・勧告(第7条)物の適切な保管や処分などを指導し、それでも改善しなければ期限を決めて勧告できる。建物の所有者・管理者にも指導できる
命令(第8条)勧告しても改善せず、近所の生活環境が著しく損なわれているときは、審議会の意見を聴いたうえで、期限を決めて改善を命じることができる
行政代執行(第9条)命令に正当な理由なく従わず、ほかの方法では難しく、放っておくことが著しく公益に反するとき、審議会の意見を聴いたうえで、市(または第三者)が代わりに改善し、費用を本人から徴収できる
経済的支援(第10条)近所の生活環境が著しく損なわれていて、本人が経済的な理由で解消できないときは、本人の申出にもとづき必要な経済的支援ができる(命令に正当な理由なく従わない場合を除く)

また条例は、建物の所有者や管理者にも、物を堆積させている方と協力して不良な状態を解消するよう努める責務を定めています(第5条)。相手が賃貸住宅に住んでいる場合に、管理会社や大家さんへの相談が大切なのはこのためです。

大阪市では「ごみ屋敷」の相談をお住まいの区の区役所が受け付けています。強制的な手段をすぐにとるのではなく、福祉的な支援が必要な場合は区役所などが連携して寄り添い、片付けたあとも元に戻らないよう見守ることを基本としています。

出典:大阪市「大阪市住居における物品等の堆積による不良な状態の適正化に関する条例」(本文)/大阪市「いわゆる『ごみ屋敷』対策について」/大阪市「いわゆる『ごみ屋敷』に関する相談窓口」(2026年11月に確認)

大阪府内で条例などがある市町

環境省の令和6年度調査(2024年11月末時点)の一覧で、大阪府内で「ごみ屋敷」に対応する条例などが挙がっているのは次の5市町です。

市町一覧に載っている条例など
大阪市大阪市住居における物品等の堆積による不良な状態の適正化に関する条例
羽曳野市羽曳野市環境美化条例(建物については、清潔に保つ努力義務と、市長の指導・勧告を定める)
泉佐野市泉佐野市建築物等における不良な生活環境の解消に関する条例
茨木市茨木市住居における物品の堆積による不良な状態を解消するための支援連絡会設置要綱
岬町岬町環境の美化に関する条例

堺市は、この一覧に載っていません。条例がない市町村でも、市役所・区役所が相談を受けて、現地を確かめたり、住んでいる方に助言したり、福祉の担当につないだりすることはあります。堺市で、住んでいる方が高齢の場合は、地域包括支援センター(高齢者の総合相談窓口)にも相談できます。

どの条例が何を定めているかは市町ごとに違います。お住まいの市町の条例の中身は、それぞれの市町にご確認ください。

出典:環境省「令和6年度『ごみ屋敷』に関する調査報告書」(令和7年3月)/堺市「地域包括支援センター(高齢者総合相談窓口)」(2026年11月に確認)

行政代執行の流れと、費用は誰が払うのか

行政代執行は、行政代執行法にもとづく手続きです。条例で命じられたことを本人が行わず、ほかの方法では難しく、放っておくことが著しく公益に反するときに、行政が代わりに行い、その費用を本人から徴収します(第2条)。

  1. 1

    命令

    条例にもとづき、期限を決めて改善が命じられる(大阪市なら第8条)。

  2. 2

    戒告

    期限までに行わなければ代執行をする、とあらかじめ文書で知らせる(行政代執行法 第3条)。

  3. 3

    代執行令書

    それでも行わないとき、代執行の時期・執行責任者の氏名・費用の見積額を文書で知らせる(同 第3条)。

  4. 4

    代執行

    行政、または行政が頼んだ第三者が、物の撤去などを行う。

  5. 5

    費用の納付命令・徴収

    実際にかかった費用と納期日を決めて、文書で納付を命じる(同 第5条)。払わなければ、国税滞納処分の例により徴収できる(同 第6条)。

つまり、代執行の費用を払うのは、近所の方や税金ではなく、原則として物を堆積させた本人です。払わない場合は、税金を滞納したときと同じように財産の差し押さえなどで徴収されることがあります。

ただ、先に見たとおり代執行はごくまれです。環境省の調査でも、行政が敷地内のごみを撤去したと答えた151市区町村のうち150が「本人などの同意を得て」撤去しており、費用は「本人負担」が最も多い回答でした。行政が片付けに関わる場合も、ほとんどは本人の同意を得たうえで行われています。

出典:e-Gov法令検索「行政代執行法」(第2条・第3条・第5条・第6条)/大阪市「大阪市住居における物品等の堆積による不良な状態の適正化に関する条例」(本文)/環境省「令和6年度『ごみ屋敷』に関する調査報告書」(令和7年3月)(2026年11月に確認)

もし、それが家族の家だったら

近所の方から「お宅のご実家が…」と知らされることもあります。そんなときは、ご本人を責めるより先に、ご本人の体や暮らしに困りごとがないかを確かめてください。物がたまる背景には、体の衰えや気持ちの落ち込み、生活の困りごとがあることも少なくありません。

ご近所には、片付けの予定が決まったら「いつ頃までに片付けます」と一言伝えておくと、関係がこじれにくくなります。

はればれにできること

はればれは、住んでいる方、またはそのご家族からのご依頼で片付けを行います。近所の方からのご依頼で、他人の家を片付けることはできません。

ご本人やご家族が「片付けたい」と思ったときには、仕分け・分別・袋詰め・同じ敷地内への搬出・簡単な掃除をお手伝いします。行政の相談窓口とあわせて進めることもできます。

はればれは、ごみを車に積んで持ち帰ること(収集・運搬・処分)は行いません。他人の家庭のごみを仕事として集めて運ぶには、市町村の許可(一般廃棄物収集運搬業の許可)か市町村からの委託が必要で、はればれはどちらも持っていないためです。ごみの行き先は出たごみの扱いでご説明しています。

よくあるご質問

Q近所のゴミ屋敷は、どこに通報すればいいですか?
A

まず市役所・区役所に相談し、担当の課を聞いてください。大阪市は区役所が「ごみ屋敷」の相談窓口です。火事が心配なときは消防署、住んでいる方が高齢なら地域包括支援センター、賃貸なら管理会社・大家さんにも相談できます。

Q通報すれば、行政が片付けてくれますか?
A

すぐには片付けられません。「ごみ屋敷」の解消を直接の目的とした国の法律はなく、行政の対応は条例などにもとづく調査・助言・指導・支援が中心です。条例のある90市区町村でも、直近5年の行政代執行は4件でした(環境省・令和6年度調査)。

Q行政代執行の費用は誰が払うのですか?
A

原則として、物を堆積させた本人です。行政代執行法により、行政は実際にかかった費用の納付を文書で命じ、払わなければ国税滞納処分の例により徴収できます。

Q堺市に「ごみ屋敷」の条例はありますか?
A

環境省の令和6年度調査の条例一覧(大阪府内は大阪市・羽曳野市・泉佐野市・茨木市・岬町)に、堺市は載っていません。困ったときは区役所や、住んでいる方が高齢なら地域包括支援センターに相談してください。

Q近所の人が勝手に片付けてもいいですか?
A

ごみに見えても他人の持ち物なので、勝手に敷地に入ったり処分したりするのはやめてください。行政や管理会社など、しかるべき窓口に相談してください。

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